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頑張る女がはまる未完の仕事ーUnfinished Work

ショコラカサノバ

 現実の暮らしの中で、「好きなタイプの男」を語るのは結構難しいもんです。だって、思うほど多種多様の男が身の回りにいるわけじゃない。まして、見ているだけでぼんやりしちゃうほどのいい男なんて、生活半径にそうそう存在しないわけで。その意味では、異性の品定めの手段として、映画は私の人生でかなり大きな位置を占めてきました。

 この「好きな俳優」というのは、結構その人となりを表したりもします。実生活でちょっと気になる男性がいたら「好きな女優さんは?」と聞いてみる。答えで、多少相手のキャラクターは理解できる。(もひとつ、好きな音楽は? というのも大きなポイントですが)。ここで、「松嶋菜々子」とか「オドレィ・トゥトウ」といった答えをもらったら、その男性と私との間に恋が芽生えることは、おそらく“ない”>あはは。


さて、そんな私は、少女時代から首尾一貫して似たような男性に強く惹かれる傾向がありました。なにせ、最初にはまったのがジャン・ポール・ベルモント。「勝手にしやがれ」でノックアウトされ、以降「ボルサリーノ」でいぶし銀になるまで長い長いお付き合いをさせてきただきましたわ。もう一人大きな存在が「ルパン三世」>笑。これは私の人格形成に大きな大きな影響を与えているな。しぶいところでは、アイルランド出身のリーアム・ニーソン。最近ではオダジョーが気になって仕方がない。

 勝手に自己分析してみると、どうやら私は「ひとつの場所に安定しない男」に惹かれる。クールでカッコつけてばかりの男じゃだめ。適度に三枚目。笑うと子どものような笑顔になるのに、ふと見せる孤独な横顔がたまりまへん。。。。。。といったタイプに弱いようですわ。そしてその男は、いつどこへふらりと消えてしまうかわからない。女心はつかんで離さないけど、一緒になってもたぶん幸せにはなれないかも? なんて男だよね。これ、同じような傾向を持つ女子は意外といるようで、以前「この立ち居地の男は、ムーミンにおけるスナフキンである」という結論に達したことも。ほれほれ、スナフキンが妙に気になっていたあなた。似たような傾向がありまへんかの>笑。


 さて。こんな私が「これこれ、これなのよっ!」とひざをたたいて喜んでしまった映画がこれでした。
ショコラ DTS特別版 ショコラ DTS特別版
ジュリエット・ビノシュ (2001/11/03)
角川エンタテインメント

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最初にこの映画に手を伸ばしたのは、お気に入りの女優のひとりであるジュリエット・ビノシュ主演だったから。「存在の耐えられない軽さ」で見せた彼女の、天真爛漫な、しかし強烈にエッチなセックス場面が忘れられません。すっぴんでほっぺが真っ赤。ごっついふくらはぎに木綿のソックスをはき、ブルマーの白いパンツでの情熱的で激しいセックス。この子すごい……と舌を巻いて以来、彼女のファン。

でも、そのつもりで見たのに、この映画では、これまで風貌としてはさして気になる俳優でもなかったジョニー・デップが私の人生に急浮上してしまいました。完全にノックアウト。ああ、なんて素敵なの。この映画のジョニー・デップ。

 ジョニーの役回りは、ジュリエット・ビノシュがフランスの因習深い田舎に作ったチョコレート店にふらりと立ち寄るジプシー(いまは差別用語なので、ロマ民族と呼ばれています)の男です。村を通り過ぎ、彼女を通り過ぎ、つまびくギターの音色だけを残していく。出番は少ないですが、この「通り過ぎていく人々」が、古い村と、そして彼女の心にちょっとした変化をもたらしていく。いかにもフェロモンの塊といったジョニーの風貌、そしてチョコレートとギターと、ロマの一行の焚くかがり火の光。冷たく、暗かった街の風景が、官能的な映像で満たされていく悦楽。

 鬱屈した暗いフランスの街の人々を、どこから来たのかもわからない、不思議なジュリエット・ビノシュとその娘が、チョコレートの魔法で少しづつ変えていくこの映画は、サイダー・ハウス・ルールのラッセ・ハルストレム監督の手による大人のおとぎ話です。私はね、とってもこの映画、好きです。
 
 さて、そんなこんなですごしていたら、もいっこ、似たような「これこれ!」という後味を残す映画に出会ったのですよ。
カサノバ カサノバ
ヒース・レジャー (2007/01/26)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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 歴史上に名を残す好色ドンファン、カサノバがベネチアを舞台に恋の鞘当。実際の話と結末はまったく違っていますが、これはこれでひとつのエンターティメント。なんたってディズニー映画ですから。そう割り切って楽しめば、なかなかの出来だと思います。
件のカサノバ役は、「ブロークバック・マウンテン」で同性愛の哀しげな男を好演していたヒース・レジャー。正直、まったくもって私のタイプではありません。なのに、なのによ! 見終わったらうっとり。はぁ、とため息が出て、心はなんだか萌え状態なのさ。なんなの、この妙な満足感はっ!
 
 しばし考えて、はっと思い当たりました。これは「ショコラ」のジョニー・デップにノックアウトされたのと、まったく同じ理由なのでは? 

 この映画では、カサノバは運命の恋をして、最後にはベネチアを離れてその女性とともに新しい人生を選択することになっています。ベネチアに残ったのは、替え玉のカサノバだったという斬新な設定ですが、このカサノバの心を捉えたフランチェスカ(シエナ・ミラー)の人物設定が、ショコラとの共通点なのでわ!? と武蔵野婦人は考えるわけです。


 フランチェスカは女性の権利と開放を訴えるため、男装して男の名前で秘密に著作を続けている中、カサノバにその秘密を知られてしまいます。それまで、修道女から貴族のマダムにまで幅広く手を出していたカサノバ。放埓な暮らしを総督にとがめられ、姦淫の罪から逃れるために刹那的な結婚をしようともくろみ、処女で人形のように美しい少女たちをその相手に選ぼうとしています。その中で出会ったフランチェスカ。
 そうなの。決してひとところに止まらず、誰にも心を預けなかった男が最後に選んだのは、人形のように美しく、男の言うことを何でもきく少女ではなく、自立して改革を目指している大人の女だったのよ! どうよ。すごいじゃないの。

 因習に満ちた世界を、「チョコレート」というお菓子作りで変えようと奮闘するジュリエット・ビノシュ。女性差別に満ちた世界を、「書く」行為で変えようと奮闘するフランチェスカ役のシエナ・ミラー。彼女たちは自立した女性であり、大人の成熟した心とからだを持っており、才能もある。そして、「このままではいけない、何かを変えなくては」と自覚して、行動にも移している女性です。でも、社会の中ではストレートに認められにくく、時に批判されたり、妨害されたり、生きにくさの実感を抱えており、「人生の成功者」とはなれずにいる。
 その彼女たちのもとに、「これまでどこにもとどまることがなく」、「決して誰のものにもならなかった」男が戻ってきて、そして「最後の女」に彼女たちを選ぶのよっ。 そう、彼女たちはもっとも困難である「手に入れにくい男の最後の女になる」という仕事に成功して、最終的に自分自身の仕事をも含めた人生そのものをサクセスストーリーとして塗り替えることに成功するんです。

 男性の成功物語は、成しえた仕事の中身で語りつくせることもある。でも、女は単純無垢に「仕事で成功したのー」と喜べない。つまりは、それだけ女が単身で成功するには、社会の中で困難に満ちたプロセスがからまりあっているわけで、女性はそんな現実の中で常に公私ともに複雑な感情に翻弄されたりしているわけですわ。

 「そして王子様と王女様は末永くしあわせに暮らしました」という、幼児期から刷り込まれた女の子としての最大のサクセスストーリーも、折を見ては頭をよぎる。男なんていらない、一人で生きていけるといくら強がっても、最後に「幸せの手札」としてあきらめきれない、「末永く幸せに暮らしましたとさ」幻想。これ、先日女優の寺島しのぶさんの結婚でも、母である寺島純子さんが繰り返し話しているのがテレビで流れました。「どんなにお仕事が充実して成功しても、女はやっぱり結婚して家庭を持ってはじめてしあわせ。素敵なパートナーがいなければ女としての本当の成功にはならないの」。ううっ。涙。ブルータス、お前もかっ。

 「ショコラ」を見て、最後にジョニー・デップがジュリエット・ビノシュの元に戻ってきて本当にうれしくて、胸がいっぱいになるほどのカタルシスを感じたのも。「カサノバ」を見て、最後に手に手を取ってベネチアから遠ざかっていくヒース・レジャーとシエナ・ミラーを見て、いいようのない満足感を感じたのも。頑張ってる女が最後に報われるのだ、という強烈な自己確認につながったからなのだわね、きっと。のほほんと日和見で、美しくて豊かで、何の疑問もなく家庭に収まって幸せに胡坐をかいているような女もいいかもしれないけどさ、でもってそういう女を選ぶ男は、自立した女には興味はないだろうけどさ。でも、どうよ。そういう女が成しえたことは、これだけ困難な男を最後に手に入れるだけの価値はあるんだよ。そうだよね、ね。うん、そうなんだよ! ああ、満足。

これ、社会にもまれて、自立しつつ一人で何かを変えようと頑張ったことのある女なら、似たような達成感を感じるんじゃないかなあ、と思うんだけど違うだろうか。あれ、あたしだけ?>笑 もし似たような感覚を持ったことがあるヒトがいたら、ぜひ教えてね。

 まあね、上記であれこれほえていることは、あくまで「想像の世界」の中でのカタルシスなわけで。現実にはそんなことは幻想であるということは、私にも十分わかっているつもりです。何よりも、「ショコラ」のジョニー・デップも、「カサノバ」のヒース・レジャーも。映画の中では女の下にとどまりましたが、実世界では必ずしばらくのちに、またどっかに行っちゃいます。知ってるもんねー、私。
 そして、この手の「何かを変えようと自立した」女性が、男のみで人生の幸福をまっとうすることはできません。結局、彼女たちが追い求めているのは「未完の仕事」(Unfinished Work)なんですもの。

 因習に満ちた村を変える。差別に満ちた社会を変える。すばらしい意識ではあるけれど、時代背景などを考えれば、途方もなく困難な仕事であることは誰の目にも一目瞭然です。判断を間違えると、「そこまでしなくても」という余計なお世話に手を出してしまうこともある。そういう困難な仕事にあえて立ち向かう女たち。すべてのヒトがそうだとは言いませんが、これは人間関係で共依存といわれる関係性に陥ってしまったヒトが取る行動によく似ています。アルコール依存症のパートナーをなんとか更正させようとする。DVの夫を暴力から解放させよう、不仲の両親を仲を取り持とう。このあたりの心理学上での「共依存」の詳しい説明はこちらがわかりやすいです。


相手のことや社会を第一に考えて役に立とうという救済行動は、妄信すると場合によって逆効果になることがあったり、自分自身の心の満足も得にくいという特徴があります。そう、つまりは必要以上に困難なことに挑戦して頑張りたがるヒトは、思い込みで誰かのためにやった行動の成功率が意外と低いため、結果としてはなかなか心の満足感を得にくい。人生における成功感も実は得にくいのれすわ。なので、この映画のように「最後はしあわせに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」とはなりにくい。その分、こういうストーリーはファンタジーとしてきちんと成立するのかもしれません。

 でね。それでも、彼女たちは挑戦をやめられない。それが、自己確認の手段なのだから、仕方がない。でもって、そのもっとも困難でやりがいのある挑戦のひとつに「行ってしまうスナフキンを私が引き止めて愛を教えて一人前に安定させる」という仕事が存在するとも考えられる。映画では、対象となる男はもっとも手に入りにくい設定のジプシーという放浪者、カサノバというドンファンでした。この困難な男が困難な仕事をさほど必要とせずに、ストレートに自分のものになるというファンタジーは、だから頑張ってる女性心をくすぐるんです。

 さて。では現実世界ではどうでしょう? 実は共依存に陥る人の特徴の一つとして、「自己評価が低い」ことも挙げられています。自分は有能だ、自分は美人だと根拠レスな自信に身をゆだねられない人が多い。こうした人々は、現実世界では「誰もが認める競争率の激しいいい男」には手を出しません。ほかの競争相手と張り合えるだけの自信が欠如しているからです。

 じゃあ、どこに向かうかというと、はたから見ると「なんであの人?」と思うような「問題を抱えた男」にはまり込む傾向がある。借金、アルコール、女癖、DV、モラハラ。もしくは問題のある家庭や過去を抱えた人や、極端な寂しがりやとか嫉妬深い人。自分より何もかも上の人は、自らのコンプレックスが刺激されてしまい卑屈になるので回避。どちらかといえば自分より少々格下、保護者の視点から相手の問題を解決できる対象を選んでしまうことが多いように思います。仕事はやりがいがあるほど、魅力的というわけ。

有能な女性が、しばし「だめんずウォーカー」になってしまうのは、こうした心理的背景があるからなのでは、と私は思います。ま、映画の世界と現実は微妙に違うってことなのかも。

 まあ、2本の映画ともそこまで狙って作られた映画ではまったくないと思うのですが、女性の成功像の考察として、勝手にそんな視点からこの男女の設定を眺めてみるのもまた、楽しいなあと思う武蔵野夫人なのでした。あ、私は決してだめんずウォーカーではないですよ、今は(笑)。ある時期にちゃんと自覚して襟を正したので大丈夫―! うふふ。ああ、また「ショコラ」見たくなったなあ。
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コメント

こんにちは!ガラリーナです。
ステキなブログ、うんうんと頷きながら読ませていただきました。
私も「ショコラ」の正統派ジョニーにはノックアウトされました。
でも、不良なジョニーも好き^^
これからもまたお邪魔しに来ます!

妄想族

洞察力&思考力と文章の表現力。
いづみさんの文章を読むといつも関心してしまいます。
私は昔から好きなタイプの男性には近づきません。
絶対に付き合って私が幸せになれないのがわかるから。

いつの頃からすきタイプは小説&映画の中の男性にとどめ、妄想族としてめくるめく夜の暴走を繰り広げています。現実に社会にオツな部分を持つ男性にあった時も飲むまでにとどめたナレッジセックスまで。
リアルな人生で蓄積したデータの男と過ごす合理主義な女となっていました。でも、生まれ変わったらマノンレスコーや椿姫のような人生を味わってみたいです。♪

未完の仕事はお金をもらえる仕事のほうでもリスクありすぎて手を出さないからな~。そこまでいい男に御目がねしてみたいものです。

また来てね~

おお、ガラリーナさん、お返事遅れてすみません!
のんびり、のんびーり更新しております上、必要以上に長い長い文章でありますのに、おいでいただき読んでもろて、もう感激どすー! ガラリーナさんのサイトもほんとに楽しいのー! これからもよろしくお願いしますねー。
そうそう、不良なジョニーもいいのよね。最近はやっぱり「カリブの海賊」になっちゃいましたけどねー!>笑

脳みそと本能

お! ジャングルちゃんではないの! 読んでくださってありがとー! うれしいです!
そうね、「幸せになれないとわかっている」場所から自身を遠ざけておけるのは、それはもうそれだけで立派な才能だと思います!
幸せになれそうもない場所に、知らず知らずに引き寄せられてしまう人、わかっているのに離れられなくなってしまう人が、世の中には結構いるんだと思うわー>笑

私は、最近やっと距離を置いておけるようになった気がします! これからも穴に落ちないように頑張ろうっと! また来てねー。

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